農業で「使える」温度センサーとその使い方とは?温度を正確に把握して収穫アップを目指すシステムをお考えの方必見!

農業で「使える」温度センサーとは

温度は、農作物の生育に大きな役割をはたす気象要素のひとつです。近年、夏季の異常高温、ハウス内の異常高温により生じる生育障害を未然に防ぐことが求められています。

農業に温度の把握は欠かせません。より美味しく安全・安心な農作物をよりたくさん収穫したいなら、日々の温度を把握することはとても重要です。今どき温度計は比較的どこででも手に入るし、手ごろな価格のものをちょっと買って付けてみようかな…という方は少なくないと思います。

でも市場に出回る農業用温度センサーの数は膨大で、とても全てを把握して、その中から「いいもの」を選ぶことなんてできるものではありません(試しに「農業用温度センサー」で検索すると、548万件もヒットしました(2021年9月現在))。

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近年、農業の現場では夏季の異常高温などにより生じる農作物の生育障害への対応が求められている。
連載講座「栽培環境における気温の観測技法と利用」を始めるにあたって
福岡峰彦、桑形恒男、吉本真由美、石郷岡康史
生物と気象18:95-96,2018
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その温度、合ってますか?

water level gauge

お店で買ってきたその温度計、「温度が合っているか」どうかわかりますか? 研究所などでは、温度検定用の正確な温度計と並べて、0℃、10℃、20℃、30℃…と何点か異なる温度で検定をしますが、普通はそんなことはしませんよね。

ではどうするか…おそらく、慣れ親しんだ農場の肌で感じる温度や気象庁発表の近傍AMeDASの気温と比較して、温度計の数字はほんの「目安」として使われるのではないでしょうか。

せっかく温度計を使うのなら、「温度」を本格的に活用してみませんか?

温度の違いは品質・収穫量に大きく影響する?

relationship

「積算温度」という言葉をご存知でしょうか。積算温度(=日々の平均気温を積算した温度)は、農作物の生育に要する熱量の目安で、開花期や成熟期の予想に広く用いられています。その適正値を知り、収穫適期を予想するには、正しい温度の積算値を把握する必要があります。日々の温度が正しくなければ、収穫適期を逃してしまうかも知れません。

あるいは逆に、温度を正しく把握するだけで収穫適期を予想でき、大幅な収穫アップ♪が目指せるかも知れません!

<参考>
毎日の平均気温を合計したもの、これを積算温度という。たとえば、スイカの果実の成熟には一定の日数がかかるが、日数よりもむしろ毎日の気温の累積が重要であり、それは800~1,000゚Cとみられている。つまり、快晴が続いた場合日数は少なくても、累計がこのぐらいの積算になれば成熟に達するとみられている。このように、積算温度は作物の栽培の多くの場面に共通した重要な意味をもつ。
https://www.takii.co.jp/glossary/se.html#10 タキイ種苗

温度センサーの性能をフルに引き出す使い方

さて、今お手持ちの温度センサーが全然使えないかというと、そうではありません。以下に弊社がおススメする「強制通風式温度センサー」を例に、温度測定のエッセンスをご紹介します。

温度センサーはただ置くだけじゃダメ?

product

今あなたが知りたい温度は、農作物にとっての温度ではないでしょうか。それでは、農作物から遠く離れた壁に掛けたり、ハウスの端にちょこんと置くことで、農作物にとっての温度はわかるでしょうか。ちょっと難しそうですね。

温度センサーは、①なるべく農作物の近くで、②農作物の高さに合わせて設置するだけで、生育や収穫との強い関係が見えてくるはずです。ぜひお試しください。

強制通風式温度センサーのここが凄い!

Types and roles

もう一歩踏み込んで、より正確に温度を測定する方法をご紹介します。

弊社では、アスマン式通風乾湿計と同様の仕組みを使った「強制通風式温度センサー」を開発しました。

気温を測定する際、温度センサーが日射を受ける状態だと、実際よりも高い温度が測定されます。このため、精度よく気温を測定するためには、日射を遮蔽するためにセンサーを筒に格納し、ファンを使って筒内に外気を強制的に導入して、外気とセンサーの熱交換を促す仕組みとする必要があります。周囲からの輻射熱の遮断と、3m/s程度の筒内への強制通風により、正確な温度が測定可能になります。

実際に、筒の中に風を通さない「自然通風式」の温度センサーを、すいかを作付けしたビニールハウス内に設置し、両者の計測値を比較しました。その結果、特に日中の温度は最大で3℃程度、自然通気式の方が高いことがわかりました。この誤差が日々積み重なると、農作物の積算温度計算に差が生じ、最悪の場合収穫適期を逃してしまう恐れもあります。

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たとえば、屋外において気温を観測する場合、温度センサーを日射に晒した状態で測定すると、得られる温度の値は真の気温よりも高くなる。そのため、精度よく気温を観測するには、日射を遮る筒にセンサーを格納し、ファンにより筒内に外気を強制的に導入して大気とセンサーの熱交換を促す仕組みを備えた「強制通風筒」を用いる必要がある。
連載講座「栽培環境における気温の観測技法と利用」を始めるにあたって
福岡峰彦、桑形恒男、吉本真由美、石郷岡康史
生物と気象18:95-96,2018
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正確な温度計測は「強制通風式」をご検討ください!

弊社では、農業に「使える」強制通風式温度センサーとロガー、およびデータをいつでも閲覧・手軽に分析できるWEBシステムを開発販売しています。今まで温度計を導入していても見方がわからない、温度が合っているか不安…などお悩みがあるかと思います。

センサーやロガーの導入時、ご希望により現地でコンサルティングもいたします(要相談)。どうぞお気軽にお問い合わせください。