みどり工学研究所は、農業土木の建設コンサルタントとして2004年7月に設立、公共事業の調査・設計・解析などを行ってまいりました。圃場整備、用水路の設計(パイプライン・開水路)、頭首工制御システムの設計、ポンプ場、道路設計など農業土木に関するあらゆる業務実績があります。特に、河川の水位、降雨量などを測定して洪水流量や通常時の水量を計算し、ダムや農業用水路の設計・監視する分野においては豊富な経験と実績を積んでおります。
この業務経験の中で、野外でのデータの取得に苦労しせっかく整備した設備が必ずしも有効に運用・管理されていないことに問題意識をもち、また、各種インフラ設備の維持・管理と自然環境の保全、災害防止こそが、これからの時代の要請であり、当社が目指すべき社会貢献であると考えました。これが、フィールドデータ伝送システム「SESAME※(セサミ)」を開発した原点です。
以来、2007年に独立電源で携帯電話網を利用したSESAMEⅠを開発、2012年にSESAMEⅡ、2018年にはLPWA(Low Power Wide Area)のLoRaを使用したSESAMEⅢを製品化し、さらにクラウドサーバー、WebソフトウェアなどIOT関連の電子技術によって、河川・砂防防災管理、農業用水管理、環境調査などのシステムを開発・設計し、主に国内外の政府機関・団体、大学・研究機関、自治体等に提供しております。
近年は異常気象による集中豪雨、温暖化で洪水が多発し、農業の被害、さらに海外、特に東南アジアでは農地の開発や森林伐採が進んで深刻な環境問題が起きています。当社は、これからも地道に現場の問題解決のためのコンサルティングを行い、低価格で安定したしSESAMEシステムを提供し、地元北海道はもとより、全国、海外の農業、環境、防災などの分野で貢献していきます。
※SESAME(Sensory data transmission Service Assisted by Midori Engineering)
左側の青は「水」、右側の緑は「みどり」を表し、水とみどりという環境に重要な2つの要素を表現、安全で豊かな環境をコンサルティングしていくことを社命とし、活動していくことを象徴しています。
革新的製品開発と海外展開
SESAMEシステムは、ユーザーのニーズに合わせ水位計、雨量計、濁度計、土壌水分計地盤変位計など各種のセンサーを主装置に接続して構成され、太陽電池利用の独立電源でどこにでも設置することができます。測定された各種フィールドデータは携帯電話通信網でサーバーに伝送され、WebソフトでPCやスマートフォンでリアルタイムに監視・分析でき、この全てのプロセスを1システムとしてユーザーに提供します。また、当社はクラウドサーバーを他社に先駆けて導入、世界中どこでも簡単にWeb上でデータを閲覧でき、機器の設置については寒冷地の河川から熱帯泥炭地まで過酷な環境での実績があり、そのノウハウが製品に活かされ耐久性の高いものになっています。
製品開発には、メンテナンスの容易さを考慮して、なるべく特殊な専用部品を使用せず、途上国においても簡単に手に入る汎用品を用いています。これにより、リーズナブルな価格で最新機器を提供し、大手の製品に比べて1/5~1/10の価格で提供することを可能にし、かつ、製品の信頼性や安定性を確保しています。
さらに最新の市場ニーズに応えるため、静止画像を伝送するSESAM-CAMERAや省電力遠距離通信(LPWA)、衛星通信方式の機器など、これからも常に新製品を開発・提供していく所存です。
国内では、2002年の1号機から現在に至るまで、研究機関や国、自治体、団体、大学、高速道路、民間などに約1000台の実績があり、2017年12月には、国土交通省「革新的河川管理プロジェクト」第2弾、洪水時に特化した寒冷地対応の低コストの水位計(危機管理型)の現場実証の参加企業に選定されました。また、国土交通省「簡易型河川監視カメラ」として約800台のカメラが日本国内で稼働しています。
一方、海外については、2012年に北海道大学の地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「インドネシアの泥炭地、森林火災防止プロジェクト」に製品を提供し、泥炭地における水位・雨量データを計測・伝送することに成功しました。
2014年から、外務省/JICA中小企業海外展開事業(案件化調査および普及・実証事業)を活用し、インドネシアでの販売拠点(日系企業代理店、現地代理店)を構築。これにより、インドネシア民間企業への横展開の商談が多数進行しているところです。このほか、ADCA(海外農業開発コンサルタンツ協会)によって、タイ、ベトナムにおける水管理プログラムにSESAMEが採用され、海外販売実績は2017年12月時点で、12件110台(JICA事業による台数を含む)となっています。今後、国内での販売拡大と併せて、東南アジアへのさらなる進出を目指しています。
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