目次
危機管理型水位計を購入する前に知りたい豆知識
自然災害の多い我が国では日ごろから防災対策を講じ、いざというときにすぐに命を守る行動を起こせるようにしておくことが大切です。近年では、大型台風が上陸した際の河川の増水が各地で大きな被害を引き起こしており、その対策の重要性が指摘されています。
このような河川の災害対策で使われるのが水位計です。現在は、水位計とクラウド監視システムなどを連携し、いち早く異変を察知することもできるようになりました。ここでは、水位計の役割やメリットなどをご紹介します。
水位計とは
水位計は日常生活で使用する機会がほとんどない製品であることから、それ自体がどのようなものなのかわからないという方も多いかもしれません。ここでは、水位計とはどのようなものなのかを解説します。
そもそも水位計とは?
水位計とは、水位を計測する機能が備わった機器のことです。川や湖、ダムなどの水位は短時間でも変化するため、目視だけで計測を行うのは容易ではありません。そこで水位計測の効率化を目的とした水位計が開発されたのです。
危機管理型水位計を設置する重要性
河川などの水位を人の手で常に測って報告するのは、非常に困難です。氾濫などの被害を最小限に留めるには、早い段階で危険を察知することが重要です。そのために開発されたのが「危機管理型水位計」で、増水しやすい河川などにはこのタイプの水位計が設置され24時間・365日監視をしています。
危機管理型水位計を設置すべき場所とは?
危機管理型水位計を設置すべき場所として、以下の場所が挙げられます。
- 堤防の高さや川幅から、氾濫が発生しやすいことが認められる場所
- 近隣に行政施設や病院などの重要施設がある場所
- 複数の河川が合流することなどから、一般的な水位計では水位の計測が難しい場所(合流地点では雨が降っていなくても、支川、本川の上流で降雨量が多くなると本川の水位が上昇し、支川の水位が急激に上がっていきます。これをバックウォーターといいます。)
高性能化が進む危機管理型水位計のメリット
危機管理型水位計は高性能化が進んでおり、IoT対応などの新たな機能が付加されるようになってきました。
また、高性能の危機管理型水位計は、水位計測の精度向上だけでなく、維持費やメンテナンスの手間の削減やコンパクト化も進んでおり、設置場所を選ばなくなっています。特に機器の設定が優しく簡単にできることが重要です。
水位計と防災の関係について
水位計を設置する目的の一つには、急激な水位の上昇による被害を最小限に食い止めることが含まれており、昨今では多くの河川などで水位計が設置されています。ここでは、危機管理型水位計と防災の関係について解説します。特に中小河川での氾濫が増えてきています。これは、近年局地的降水量が異常に増加していることによります。
接触式と非接触式
危機管理型水位計には、水に触れる「接触式」と、水に触れることなく計測ができる「非接触式」の2種類があります。
接触式は、計測性能が安定している反面、流木などが当たることで故障してしまう可能性があります。それに対して非接触式は、機種ごとの計測性能のばらつきはあるものの、流木などに接触する恐れがない点がメリットといえるでしょう。設置する場所により、接触式、非接触式が用いられます。センサーの出力が安定しているのは接触式(水圧を電気的に変換して計測する圧力式センサー)です。
もっとも高性能なのは電波式
接触式・非接触式それぞれの危機管理型水位計は、計測する仕組みなどによってさらに細分化することができます。そのなかでも特に高性能なのは非接触式に分類される電波式です。気温や天候などの影響を受けにくいため、このタイプもまた多くの河川などで設置されています。しかし、価格は高価になります。
防災における危機管理型水位計の重要性
水位の変化を危機管理型水位計で常時監視することは、非常に重要です。河川の増水は急激に発生することがあり、人の手で食い止めるのが難しいためです。
川の上流でゲリラ豪雨が発生し、好転だった下流の水位が急激に増えて氾濫時に逃げ遅れてしまったというケースも少なくありません。増水が確認されたら川の周辺にいる方たちは避難するしかなく、そのための避難勧告を適切なタイミングで出さなければなりません。できるだけ早期に水位の異常を感知するためには、危機管理型水位計の存在が重要なのです。
日本における危機管理型水位計の概要
令和3年時点で国内の危機管理水位計の設置場所は約6,000箇所にも及んでいます。近年では、日本と同様に河川などの増水による被害が多い東南アジアの国々などへ危機管理型水位計の輸出が検討されています。
水位計の販売メーカー選びでお悩みの方必見!仕様について
水位計は高性能化に伴っていくつかの種類が登場しています。それらの水位計には各々に異なるメリット・デメリットがあることから、使用する環境や用途に合わせて上手に使い分けることも大切です。
しかし、そもそも水位計について詳しく知らない方は、どの販売メーカーの水位計がよいのか、どのような仕様の水位計を選べばよいかなど、悩んでしまうことでしょう。こちらでは、水位計選びでも重要な仕様の違いや種類・役割について解説します。
商品について
こちらでは、弊社の水位計の仕様をご紹介いたします。弊社の水位計の特徴は、機器製造からデータ伝送回路、クラウドサーバー、そのデータを素早く視認するWEBアプリまで一貫して提供していることです。
SESAMEⅡシリーズ
「SESAME Ⅱシリーズ」には、水位計、気象計、水質計が含まれます。
- SESAMEⅡ-02c 危機管理型水位計
- SESAMEⅡ-02Q 簡易型水位計
- SESAMEⅡ-05Q 簡易型気象計
- SESAMEⅡ-06Q 簡易型水質計
SESAMEⅡ-02c 危機管理型水位計は、太陽電池で長期観測が可能なので、電源や通信設備が確保できない場所にも簡単に設置できます。国土交通省危機管理型水位計の仕様に合わせてあります。データは、河川情報センターに直接送られます。設置する場合は、地方整備局との協議が必要です。
SESAMEⅡ-02Q 簡易型水位計
この機器は、02cのベースになった機器で、水位計のほか、雨量計や土壌水分計など、2台の水位計を取り付けられるようになっています。また、水位が上昇するとアラームを出す仕組みがあり、危険になると現場のパトランプなどが自動的に運転するようになっています。
SESAME-CAMERA
「SESAME-CAMERA」は、簡易型河川監視カメラです。SESAME Ⅱシリーズの水位計との連動が可能で、河川の水位の変化をリアルタイムで確認することができます。
例えば、水位が上昇した時に水位計の観測頻度が増すと同時に、撮影をすることにより、無駄な撮影とデータ伝送を節約することができます。また、その画像のチェックには、SESAME-WEBが大いに活躍いたします。SESAMEⅡ-02Qと連携して水位が上昇した時のみ撮影間隔を短く、普段は死活監視のみにして、通信料並びに、電源を小さくすることも出来ます。
SESAME-WEB
「SESAME-WEB」は、計測データ(水位や雨量など)と画像をWEB監視するための可視化システムです。こちらもSESAME Ⅱシリーズとの連動が可能で、併用することで監視業務の能率化を推進します。
続いて、水位計の種類と設置方法を解説します。
水圧式
水に接するタイプの水位計で、水中に設置して使います。センサーが感知した水圧をもとに水位を計測します。水位計の設置場所は、河川などに防波管(塩ビ管など)を設置してデータ計測部までケーブルを保護して接続する必要があります。従って、大河川で常に水深を監視する場合は、設置が大変です。小河川であれば簡単です。しかし、大河川では、センサーが流されないように保護するので、水位が安定している場所に設置するのが一般的です。
超音波式
超音波を使用して計測を行うタイプの水位計です。センサーから水面までの距離で水位を計測するため、水中に設置する必要がありません。測定距離は、20m程度までが最大です。風速の影響、雨、霧等が発生すると精度が落ちるときがあります。
これまでの水位計に代わる「新しい水位計」
河川などの水位の計測は、従来だと堤防に設置した量水票を使用して目視で行われていました。しかし、この方法だと急激な水位の変化などに対応できないことから、平成14年には原則廃止となりました。
目測による計測法に代わって登場したのが、「水圧式」「超音波式」「電波式水位計」を使用する方法です。水圧式は河川に直接設置しなければならないので、洪水等で流出する可能性があります。しかし、非接触式の超音波、マイクロ波で計測する電波式水位計は精度が高いうえに、橋梁等に簡単に設置できること、また、価格も安価になっていることから、水位計の設置位置が確保できれば、安価で洪水時にも安心して水位を計測できる非接触式水位計も増えてきました。現在ではこのタイプの水位計への需要が非常に高くなっています。
水位計の種類と役割
現在使用されている水位計は、以下のようなものがあります。
フロート式
フロート式は、釣りで使用する「浮き」のような働きをする「フロート」を水面に浮かべ、それにつながっているケーブルをプーリーにひっかけ、プーリーの回転数を記録する方式です。河川で使用するためには、水位を検知するフロート室を設置する必要があります。昔からの重要な水位観測所では、現在も使われているケースもあります。しかし、現在では少なくなっています。
圧力式
水深の変化に伴う水圧の変化を検出して電圧、電流に変換する水圧式センサーが水位変化に伴う水圧を感知して、そこから水位を算出します。このタイプもまた、狭い場所への設置に適しているという特徴があります。非常に多く使用されている水位計です。
静電容量式
容器とプローブを電極としたコンデンサを形成し、電極間に液体が入った際に生じる静電容量の変化を計測します。このタイプは工場にあるタンクなどのなかの液体の水位を図る際に使用されます。
差圧式
液圧を計測するダイヤフラムと、タンク内圧を計測するダイヤフラムで構成されているのが差圧式です。このタイプもまた工場のタンクなどで使用されます。
電波式
電波式の水位計は、発信したマイクロ波パルスが反射して戻ってくるまでの時間を計測し、そこから水位を計測します。漂流物の影響を受けにくいため、河川の水位計測でも広く活用されています。
超音波式
超音波式の仕組みは基本的に電波式と同じです。マイクロ波パルスの代わりに超音波パルスを使用する点に違いがあります。このタイプもまた河川における水位の観測に適します。
防災対策をするなら非接触式の水位計がおすすめ!
水位計とは水位を計測するための機器で、氾濫しやすい河川などの水位を監視するために必要です。水位計は大きく接触式と非接触式に分かれ、さらに計測方式によって数種類のタイプがあります。
河川などにおける防災目的で水位計を購入する場合、漂流物が接触することによる故障などの心配がなく、計測精度も高い非接触式の危機管理型水位計を選ぶとよいでしょう。
弊社でも、「SESAME Ⅱシリーズ」に使用できる非接触式センサーとして超音波式、電波式センサーも取り扱っており、電源がなくても太陽電池で動作するため、設置が簡単に行えます。気になる方はぜひお問い合わせください。