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河川水位計の販売メーカーが教える豆知識
近年日本中のどこにおいても、河川の急な増水が、発生する確率が非常に高くなっています。それによる大きな水災害になる可能性があります。そのため、河川の水位を常に監視し、その変化を早い段階で察知することは周辺に住む方たちの生活を守るうえでも重要なのです。
河川などの水位を計測するために、水位計という機器が活用されており、昨今では様々な仕様のものが登場しています。
河川の水位を計測するなら電波式がおすすめ!
メーカーが販売する水位計にはいくつかの種類があり、それぞれで計測方法が異なります。そのため、水位計は用途に合うタイプのものを選ぶ必要があります。とりわけ河川の水位を計測する場合には、設置する場所、条件により変わります。圧力式がいい場合もあるし、非接触式の電波式水位計を選ぶ場合もあります。TPOに応じて選択することが重要です。
水位計の種類
水位計には大きく分けて「接触式」と「非接触式」の2種類があります。それぞれのタイプの特徴を見ていきましょう。
- 接触式:水に直接触れた状態で水位の計測を行うタイプの水位計。圧力式水位計など。
- 非接触式:電波や超音波を使用して、計測ができるタイプの水位計。
電波式水位計の特徴
電波式水位計は、センサーから発信したマイクロ波パルスの跳ね返りを利用して計測します。温度や天候、ガスや蒸気などの影響を受けにくいため、屋外での計測結果が安定しやすいのが特徴です。
河川の水位計測で電波式水位計がおすすめの理由
河川の水位計測で電波式水位計がおすすめの理由として挙げられるのが、精度の高さです。機器によっては微妙な水位の変化も計測できることから、防災目的での利用にも適します。
また、非接触式に分類される電波式水位計は水に直接触れることなく計測ができるため、河川であれば漂流物が接触することによる故障の可能性がないという点でもメリットがあります。
河川の水位の監視は常に行う必要があるため、安定しやすく故障の可能性が少ない電波式が適しているといえるでしょう。
弊社も参加する「革新的河川技術プロジェクト」とは?
弊社は、河川水位計の開発・販売と並行して「革新的河川技術プロジェクト第2弾」に参加しています。続いては、このプロジェクトの詳細をご紹介いたします。
革新的河川技術プロジェクトとは?
革新的河川技術プロジェクトとは、国土交通省水管理・国土保全局が募集した技術プロジェクトで水位計として、第1弾、第2弾が行われました。弊社は第2弾寒冷地仕様の実験に2018年2月から参加、現在まで継続して観測しています。この成果をもとに、河川行政にかかわる課題を自治体と企業が一体となって解決することを目的として始動したプロジェクトです。
河川行政の課題は多くの自治体が抱えており、その抜本的な解決手段を提示するためには、民間企業の協力が不可欠です。とりわけ河川の安全を維持するうえでは企業が開発する高性能機器の活用が不可欠であり、そのためには自治体と企業が連携を取ることが求められます。そのため、弊社以外にも数多くの企業がこのプロジェクトに参加しています。
革新的河川技術プロジェクトが始動した理由
このプロジェクトが始動した大きな理由は、防災対策が必要な河川やその周辺地域において、早急に安全な状態を構築することです。また、製品価格を安価にして多くの水位計を設置しやすくすることが目的としていました。特に、携帯電話データ通信網を利用し、安価にテレメトリーができることが求められました。
河川は災害や事故が起きやすいため、河川行政にかかわる課題の多くは安全性を高めるものです。河川の安全を維持するためには、水位計だけでなくドローンや画像解析技術などの高性能な技術・機器を複合的に活用する必要があります。しかし、それらを自治体の力だけで開発・運用するのは容易ではありません。
この革新的河川技術プロジェクトを通して、自治体の力だけでは導入するのが困難な高性能技術・機器を、企業とともに作り上げていくことができるのです。
革新的河川技術プロジェクト始動後の変化
革新的河川技術プロジェクトが始動したことで、全国の自治体では河川の安全面における多くの変化が生じています。
例として、革新的河川技術プロジェクト第3弾で求められた監視カメラの普及が見られました。中小河川の氾濫しやすい箇所などにも監視カメラが設置されるようになり、安全性が向上しています。弊社は、このプロジェクトにも参加し、現在日本全国の自治体、国土交通省直轄の簡易型河川監視カメラとして導入されています。
監視カメラの普及にはプロジェクトに参加する企業の努力によって監視カメラの低価格化が実現したことも大きく関係しており、自治体と企業のあいだで良好な連携が取られていることがわかります。
河川水位計の仕様について
大型台風の上陸などの影響で、水害が発生する機会も少なくありません。水害の発生を未然に防ぐためには、その予知と適切なタイミングでの避難勧告の発令が必須です。予知には水位計を使用した水位の計測が不可欠であり、弊社の水位計も水害予防目的とした導入事例があります。
また、水害の種類と起こりえる被害を知って予防策を実施することも重要です。こちらでは、水位計を使用した水害の予防法や製品の仕様などをご紹介いたします。
水害の種類と対策方法
水害にはいくつかの種類があります。主な水害とその対策について、見ていきましょう。
洪水
台風や豪雨などによって発生する危険性が高いのが洪水です。洪水は降雨量などから発生を予知することができます。ただし、河川の氾濫が関わる場合、降雨量だけでなく河川そのものの水位の変化も常時観測する必要があります。流域内の雨量の分布により、河川本流よりも支流における洪水が発生することが多いです。
河川の氾濫
洪水の一種でもある河川の氾濫には「外水氾濫」と「内水氾濫」の2種類があります。内水氾濫の原因は本川の水位が上昇し、住宅地、水田などから出てくる洪水が排水しきれなくなったことが原因で起こります。外水氾濫は河川本流の増水による水位の上昇による堤防溢水による氾濫が原因です。いずれも大量の水が周辺の市街地などに流れ込み、住宅の浸水などを招くという被害が想定されます。
河川の氾濫は水位の上昇を予測することで知ることができます。ただし、堤防の決壊などによって急に被害が拡大することもあるため、降雨量や、河川水位を常に監視することが必要で、水位、降雨量が多くなったときは、避難の準備を行い、早めの避難が重要です。そのために、インターネットで確認できる河川情報センターが配信している「川の水位」情報を常に監視しておく必要があります。
高潮
河川だけでなく海で発生する水害もあります。それが、海面が異常に高まる高潮です。その被害が発生するのを防ぐには、海面の水位変化を観測する必要があります。海における潮の満ち引きによる水位の変化はある程度予測ができます。ただし、天候による影響は予測が難しい部分もあります。低気圧、台風の通過による海面上昇と沖合における風の力により思わぬ高潮に見舞われる可能性があります。
波浪
海で発生する水害には、波浪もあります。波浪とは、強風によって引き起こされる不規則で時にはうねりをともなう波です。特に強い風が吹くと堤防を飛び越え、市街地にまで被害が及ぶこともあります。波浪による被害は高潮時に大きくなりやすく、波浪注意報・警報の発令判断においても水位が基準の一つとなります。
津波
津波もまた水害の一種です。津波が発生すると港付近の水位が変化することから、被害を未然に防ぐためには、水位計による水位変化の観測も有効です。
水害の危険を早期に察知するためには、24時間分のデータをネット経由で閲覧・管理できるクラウドサービスを利用しスマートフォンなどを利用して常に水位データ、雨量データなどを監視することが重要です。
弊社の商品「SESAME Ⅱ-02C」の特徴
弊社では水位計の開発・販売を行っており、既に多くの河川で導入がされています。こちらでは、弊社の水位計「SESAME Ⅱ-2C」の仕様についてご紹介します。
「SESAME Ⅱ-02C」は危機管理型水位計です。ただ水位を計測することだけを目的とするのではなく、計測によって得たデータを河川の氾濫をはじめとした水害の危機管理に活用できる点が大きな特徴です。計測センサーとしては、非接触式電波式、超音波水位計、また、接触式圧力センサーで行なわれます。センサーは、場所により使い分けられます。橋梁等につけられる水位センサーには、非接触式電波式水位計が優れています。
「SESAME Ⅱ-2C」を活用するメリットは、以下のとおりです。
低コストで高性能
「SESAME Ⅱ-02C」は、低コストでありながら高性能であるというメリットがあります。携帯電話通信網を用い、かつ太陽電池での稼働も可能であることから設置場所を選ばす、必要と思われる場所に確実に設置できる水位計です。弊社のSESAMEⅡ-02シリーズは、水位計のほかに、雨量計、また水位計を追加して監視することもできます。
設置が簡単、設置場所も選ばない
非接触式の「SESAME Ⅱ-02C」は太陽電池での無給電・長期観測ができるため、電源の有無や通信環境に左右されません。場所を選ばず設置が簡単な点は大きなメリットとなるでしょう。
監視システムとの連動が可能
「SESAME Ⅱ-02C」は拡張性が高く、監視カメラと連携しての運用が非常に効果的です。通常、カメラのデータは、1時間に一回撮影すれば十分でデータ伝送における通信料を節約できます、しかし、水位が上がってくると、撮影回数を増やすことが必要になります。そのとき、水位計より発信されるパルスに応じて、SESAME-CAMERAは、撮影の時間を変更することができます。そして、Webソフト上で、グラフと連動して画像を必要な時点でのデータをポップアップすることができます。また、カメラも3台まで設置できるので、河川中央、河川堤防、堤防より内側の住宅地等の湛水状況なども同時に知ることができます。
「SESAME Ⅱ-02Q」を活用する危機管理型水位計パッケージとは?
拡張性の高い「SESAME Ⅱ-02Q」の特徴を最大限生かすために開発されたのが、危機管理型水位計パッケージです。WEB監視システムや監視カメラ「SESAME-CAMERA」を「SESAME Ⅱ-02Q」と連動させることで、水位の変化とそれによって生じる水害の画像の監視ができます。水位のデータではわからないデータが画像には隠されており非常に有効です。今後、ため池等の監視に使われることが多く予測され、弊社のシステムは、いろいろな自治体で利用されています。
水害被害の予防のために危機管理型水位計を上手に活用しよう!
河川などの水位の変化を観測できる水位計には、接触式と非接触式があり、特に非接触式に分類される電波式には、計測精度の高さなどでメリットがあります。しかし、ため池等のダム堤体の水位を測るためには、圧力式水位計が優れています。ケースバイケース、いろいろな据え付け方があります。当社は長年土木系コンサルタントとして活動をしてきたことから、適切な水位計の選定のご相談に対応できます。
弊社では、危機管理型の水位計「SESAME Ⅱ-02C」を販売しています。革新的河川技術プロジェクトにも参加した製品で、洪水時に特化した低コストの水位計です。
「SESAME Ⅱ-02Q」はWEB監視システムや監視カメラと連動させることも可能なので、複数個所の水害被害の予防としてぜひご活用ください。